まるごとわかる栄養療法

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月刊薬事 2017年4月臨時増刊号(Vol.59 No.6)

まるごとわかる栄養療法

臨床の疑問に根拠をもって答えられる!

商品コード 93514
編著 井上 善文(大阪大学国際医工情報センター栄養ディバイス未来医工学共同研究部門 特任教授)/編
判型 B5判
発行日 2017年4月
ページ 338頁
定価 ¥4,070(税込)
在庫 品切れ

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内容

◎栄養療法の最新エビデンスがわかる
◎栄養製剤の特徴がわかる・使い分けられる
◎デバイスの使い方・リスクマネジメントがわかる
◎Commonな病態に応じた栄養管理のコツがわかる

NSTに入っていてもいなくても、栄養療法の知識は病棟や在宅医療で欠かせません。本書は「静脈経腸栄養ガイドライン 第3版」を取りまとめた井上善文先生に編集をお願いし、「どんなときにどの栄養製剤を使えばいいのか?」、「栄養アセスメントはどうやるの?」、「デバイスの使い方と注意点は?」などの基本から、病態別の栄養管理までをしっかり解説。栄養療法の最新のエビデンスと現場での実践のコツがわかります!

 

※訂正情報

2017年5月19日

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目次

第1章 これだけは知っておきたい栄養療法の基本
1.栄養素の代謝の仕組み
大林光念
2.栄養障害の分類と診断
井上善文
3.栄養療法のスクリーニングとアセスメント
栗山とよ子、森川 渚
4.栄養療法の種類と選択のポイント
西口幸雄
5.非タンパク熱量窒素比(NPC/N比)の意義
山下芳典
6.栄養管理と漢方医学
小川恵子
 
第2章 栄養製剤の使い方と選び方
<静脈栄養>
1.末梢静脈栄養製剤の組成を理解する
荻野 晃
2.中心静脈栄養製剤の組成を理解する
倉本敬二
3.高カロリー輸液キット製剤における総合ビタミンの問題点
林 宏行
4.高カロリー輸液用微量元素製剤の組成と問題点
上原秀一郎
<経腸栄養>
5.経腸栄養剤の基本的分類と使い分け
有岡靖隆、井上善文
6.経腸栄養剤における微量元素含有量と問題点
湧上 聖
7.半固形状流動食の特徴と問題点
西脇伸二
8.Immunonutritionの現状と問題点
東園和哉、深柄和彦
 
第3章 デバイスの正しい使用とリスクマネジメント
<静脈栄養>
1.中心静脈カテーテルの種類、挿入経路の選択
野呂浩史
2.診療看護師によるPICC挿入の現状と問題点
村田美幸
3.輸液ライン
井上善文
4.輸液ポンプの使い方と注意点
高橋秀典
5.CVポートの種類、特徴、挿入経路の選択
吉川正人
<経腸栄養>
6.胃瘻造設方法とその選択
玉森 豊
7.経皮経食道胃管挿入術(PTEG)
大石英人
8.経腸栄養剤投与経路の管理方法
小川哲史
 
第4章 栄養管理の落とし穴──合併症の予防と対策
1.カテーテル関連血流感染症への対応の実際
小林敦子
2.経腸栄養施行時の消化器系合併症
真壁 昇
3.代謝性合併症
栗山とよ子
 
第5章 よくあるケースから学ぶ病態別栄養管理
1.食道亜全摘の周術期栄養管理
佐藤 弘、宮脇 豊、桜本信一
2.人工呼吸管理中の栄養管理
山田知輝
3.肝性脳症を有する症例に対する栄養管理
白木 亮
4.血液透析症例に対する栄養管理
磯﨑泰介、水野佐代子、冨田加奈恵、鈴村里佳、伊藤小百合、水野高嗣、塩川 満
5.慢性心不全症例に対する栄養管理
小笹寧子
6.COPD症例に対する栄養管理
岡田 悟、井上匡美
7.クローン病症例に対する栄養管理
根津理一郎
8.糖尿病合併脳梗塞後遺症症例に対する栄養管理
河島淳司
9.がん化学療法中の栄養管理
宮田博志
10.がん緩和ケアにおける栄養管理
豊田暢彦
11.腸管不全に対する在宅静脈栄養法
増本幸二、瓜田泰久、新開統子

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序文

いまからちょうど50年前の米国において、Dudrick SJらにより中心静脈栄養(TPN)が、Stephens RVらにより化学的に成分が明らかになった経腸栄養剤(chemically defined diet)による経腸栄養が、臨床の現場に導入された。それまでは、食事が摂取できない患者や消化吸収能が障害されている患者を救命することはできなかったが、この時点で栄養管理の方法が大きく変わった。それまでの栄養管理法は経口栄養であり、食べられない患者に対する栄養管理の手段がなかったのである。食べられる患者に対する栄養管理を実施するのは、もちろんDietitian(栄養士)であった。しかし、TPNと経腸栄養という手段が医学の領域に持ち込まれて、新しい栄養管理の時代に突入したのである。
Dietitianは経口栄養のみならず静脈栄養も経腸栄養も実施する必要性が生じ、医師、看護師、薬剤師などの多職種が協力して適正な静脈栄養・経腸栄養を実施する必要性が生じてきた。すなわち、Medical Nutritionistと呼ぶべき『静脈栄養・経腸栄養を駆使した栄養管理を実施する』という本来の栄養管理のスペシャリストが必要となったのである。そうしてそれを適切に実施するためのチーム医療が必要となり、本来の形での栄養管理チーム(NST)が生まれたのである。
確かに近年、わが国でもNSTという医療チームが多くの病院に設立されて活動している。しかし、本来の「経口摂取ができない、あるいは不十分な患者に静脈栄養・経腸栄養を駆使した栄養管理」を実施できている施設がどれだけあるのであろうか。わが国のNST活動は経口栄養のサポートが中心となっている傾向が出てきている。経口栄養のサポートしかできない、これは、50年前の栄養管理に逆戻りをしていることを意味している。方法論も確立している、それを実施するための器材、輸液、経腸栄養剤も揃っている。それなのに適切な静脈栄養と経腸栄養が実施できない、重大な問題である。
現実問題として、NSTというチームのなかで薬剤師は、薬剤師が本来得意とする領域で活躍できているのであろうか。経口栄養のサポートとなれば、管理栄養士のほうが力をもつことはある意味当然である。しかし、静脈栄養・経腸栄養の管理においては、薬剤師が本来の力を発揮すれば中心的役割を担う立場になることは可能であり、そうするべきである。薬剤師が本来の活動内容を実現できていないためにNSTのレベルが下がっているのかもしれない。NSTというチームが本来の活動をするためには、薬剤師がもっと力を発揮するべきであることは間違いないし、そうすることによってNST自体のレベルが上がり、本来の適切な栄養管理を実施できるという意味での患者への恩恵も計り知れないものがある。
本書は、薬剤師が本来の力を発揮して、NSTのメンバーとして、あるいはNSTのメンバーではなくても、静脈栄養・経腸栄養を駆使した栄養管理が実施できるよう、Medical Nutritionistとして活動するためのノウハウを理解していただけるような構成とし、本当に現場を理解している方々に執筆をお願いした。実際に栄養アセスメントを行い、実際に静脈栄養輸液・経腸栄養剤の組成を検討し、実際にカテーテルを挿入して管理し、実際に手術をして術後管理をし、実際にさまざまな状態の患者に対して静脈栄養・経腸栄養の管理を行っておられる方々に執筆していただいた。地に足の着いた内容になっていることは、読めばすぐに理解していただけると思う。現場を理解している者でないと書けない内容ばかりであることも、ご理解いただけると思う。
本書の編集者として、すべての原稿に目を通し、執筆者と意見が食い違っている部分は直接話をして変更もさせていただいた。失礼だ、という思いをもたれた方に対しては、この場を借りてお詫び申し上げる。しかし、編集者の責任としてであったとご理解いただきたい。
ということで、自信をもって本書を推薦する。できるMedical Nutritionistになるために非常に優れた内容になっていることは間違いないからである。

大阪大学国際医工情報センター栄養ディバイス未来医工学共同研究部門 特任教授
井上 善文

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