非がん患者の緩和ケア 第2版

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非がん患者の緩和ケア 第2版

商品コード 55146
編著 松田 能宣、山口 崇/編
判型 A5判
発行日 2023年5月
ページ 228頁
定価 ¥3,850(税込)
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内容

●これから非がん患者の緩和ケアを始める人へ
●「がんと何が違う?」「いつから始める?」「どう説明したらよい?」--疾患の進行にあわせた症状緩和への対応・処方がわかる!
●ACP、退院支援、社会的支援など、地域医療ともつながる緩和ケアの実践書
 
非がん患者の緩和ケアって? 患者さんに何ができる? そんな疑問に答える実践書です。
一言で「非がん」といっても、心不全・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・慢性腎臓病(CKD)・肝硬変・認知症・神経難病など、疾患によって病態や経過、患者が苦痛と感じる症状や状況は異なり、治療の目指すところや対処方法もさまざま。そこで本書では、各疾患の標準治療、病期に伴う治療方針の転機、薬物療法・非薬物療法による緩和ケアの基礎をしっかり押さえ、ACP(Advance Care Planning)を行うタイミングや、患者とのリアルな会話事例を紹介します。
第2版では、急性期医療から地域医療へつなぐ退院支援のポイントなどを追加。本書を読んで、今から、明日から、非がん患者の緩和ケアを実践してください!
 

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目次

 Chapter 1 非がん患者の緩和ケアを知る
 1-1 非がん患者の緩和ケア
  1.なぜ非がんの緩和ケアなのか?
  2.がんと非がんにおけるCare Needs の変化:類似点と相違点
  3.緩和ケアが必要な非がん患者を見定めるには
 1-2 非がん患者に共通する症状とその対応
  1.痛み
  2.呼吸困難
  3.不眠
  4.せん妄
 1-3 アドバンス・ケア・プランニングとは
  1.アドバンス・ケア・プランニングの歴史的経緯
  2.アドバンス・ケア・プランニングとは
 
Chapter 2 心不全
  1.疾患概念と疫学
  2.原疾患に対する評価
  3.原疾患に対する標準治療
  4.症状緩和〔呼吸困難/倦怠感/痛み/抑うつ〕
    【CASE】どんな体勢でも、体がきつくてたまらない…
  5.予後とアドバンス・ケア・プランニング
    【CASE】薬でまた良くなる。心不全はまだそれほど悪くない…?
  6.退院支援
  心不全のソーシャルサポート
 
Chapter 3 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  1.疾患概念と疫学
  2.原疾患に対する評価
  3.原疾患に対する標準治療
  4.症状緩和〔呼吸困難/抑うつ/抑うつ以外の精神症状〕
    【CASE】呼吸困難の緩和にモルヒネを使用できる…?
    【CASE】ちょっと息苦しくなるだけで、ひどくならないかと心配…
  5.予後とアドバンス・ケア・プランニング
    【CASE】これ以上、しんどい思いはしたくない…
  6.退院支援
  呼吸器疾患のソーシャルサポート
 
Chapter 4 慢性腎臓病(CKD)
  1.疾患概念と疫学
  2.原疾患に対する評価
  3.原疾患に対する標準治療
  4.症状緩和〔尿毒症症状・溢水/痛み/全身倦怠感/吐き気/かゆみ/
    レストレスレッグス症候群抑うつ・不安と心理的変化せん妄
    【CASE】まだ大丈夫かと…。まさかこんなことになるとは…
    【CASE】透析は先延ばしにしたい…
  5.予後とアドバンス・ケア・プランニング
    【CASE】透析は絶対にやらないと決めていたが…
  6.退院支援
  慢性腎臓病(CKD)のソーシャルサポート
 
Chapter 5 肝硬変
  1.疾患概念と疫学
  2.原疾患に対する評価
  3.原疾患に対する標準治療
  4.症状緩和〔浮腫・腹水(肝性胸水)/肝性脳症/黄疸に伴うかゆみ/痛み
    【CASE】腹水を抜いても大丈夫…?
  5.予後とアドバンス・ケア・プランニング
    【CASE】次こそは救命が難しいかも…
  6.退院支援
  肝硬変のソーシャルサポート
 
Chapter 6 認知症
  1.疾患概念と疫学
  2.原疾患に対する評価
  3.原疾患に対する標準治療
  4.症状緩和〔療養場所の選択/感染/摂食/身体症状の緩和〕
  5.予後とアドバンス・ケア・プランニング
    【CASE】認知機能の低下とは、もの忘れのこと…?
  6.退院支援
  認知症のソーシャルサポート
 
Chapter 7 神経難病
  神経難病とは
  神経難病の退院支援
 7-1 パーキンソン病
  1.疾患概念と疫学
  2.原疾患に対する評価
  3.原疾患に対する標準治療
  4.症状緩和〔パーキンソン症状/痛み/嚥下障害に伴う苦痛
    【CASE】お腹に穴を開けたくない。延命治療はしたくない…
  5.予後とアドバンス・ケア・プランニング
 7-2 筋萎縮性側索硬化症
  1.疾患概念と疫学
  2.原疾患に対する評価
  3.原疾患に対する標準治療
  4.症状緩和〔流涎/強制笑い・強制泣き/痙性による苦痛/痛み/呼吸困難/ALS末期の落ち着きのなさ
    【CASE】麻薬は、なんだか気が進まない…
  5.予後とアドバンス・ケア・プランニング
 7-3 多系統萎縮症
  1.疾患概念と疫学
  2.原疾患に対する評価
  3.原疾患に対する標準治療
  4.症状緩和〔無動固縮/声帯開大不全による呼吸困難/嚥下障害〕
  5.予後とアドバンス・ケア・プランニング
 7-4 ハンチントン舞踏病
  1.疾患概念と疫学
  2.原疾患に対する評価
  3.原疾患に対する標準治療
  4.症状緩和
  5.予後とアドバンス・ケア・プランニング
 7-5 多発性硬化症/ 視神経脊髄炎
  1.疾患概念と疫学
  2.原疾患に対する評価
  3.原疾患に対する標準治療
  4.症状緩和
  5.予後とアドバンス・ケア・プランニング
  神経難病のソーシャルサポート
 
コラム
 非がん患者の緩和ケアにおける家族の心理・対応
 末期心不全患者の緩和ケア診療加算
 緩和的心不全リハビリテーション
 非がん患者の緩和ケアで意識したいプラセボ効果
 終末期間質性肺疾患の呼吸困難に対するモルヒネの投与方法
 COPD患者の呼吸困難に対する送風療法
 否認・葛藤状態にある患者への介入
 CKD患者の便秘対策
 CKD患者の吐き気に対する非薬物療法
 CKD患者の薬物療法には苦慮する?
 アルコール性肝硬変に必要なアプローチ
 かゆみの非薬物的なケア
 拒薬への対応
 非がん疾患の心理的適応
 非がん患者にモルヒネは投与できるのか?
 マインドフル呼吸エクササイズ 

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序文

国内においても海外においても、緩和ケアはがんを中心に行われてきました。私が緩和ケアの診療を始めた頃、「なんで、がんの患者さんだけ特別に扱われているのだろう?」と不思議でなりませんでした。当時、呼吸器疾患の終末期の呼吸困難にモルヒネを使用したときに、「そんな危険な薬を使うなんて」と、別の医師から叱責されたことは今でも記憶に残っています。
 
近年では非がん患者さんに対する緩和ケアの重要性も認知され、少しずつ広がってきました。今後、医療者は非がん患者の緩和ケアに関する対応を求められる機会が増えてくることが予想されます。これまでも、いくつかの非がん患者の緩和ケアに関する書籍が発行されていますが、困ったときにすぐに使える実践書というものはあまりなかったように思います。本書は、非がん患者の緩和ケアに携わる医療者が困ったときに手にとる実践書という位置づけで編集を行いました。
 
非がん疾患には、本書であげた疾患以外にも、当然多くの疾患が含まれます。ただ、すべての疾患を網羅するのは現実的ではありませんので、本書では、緩和ケアのニーズが高く、今後緩和ケアサービスへの相談が増加することが予想される、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病(CKD)、肝硬変、認知症、神経難病を取り上げました。
 
本書には、いくつかのおすすめポイントがあります。
1つ目は、腎不全、肝不全というこれまであまり扱われてこなかったテーマを扱っています。今後、緩和ケアがさらに多くの疾患を対象に提供されるようになることを考えると、幅広い疾患の基礎的な知識を知っておくことが必要になります。特に本書では、各疾患における標準的な治療についても記載しており、専門外の医療者にとっても利用しやすいよう必要な情報が簡潔にまとめられていると思います。
2つ目は、実践書として総論は極力減らし、目の前の患者さんに対処するための具体的な対応を中心に記載しています。特に処方については、具体的な処方例を記載しています。本書では各領域の専門家の先生方が、エビデンスに基づきながら、一方でエビデンスが乏しい場合には日常臨床での実践内容を紹介してくださっています。
3つ目は、各疾患の社会的なサポートについても触れています。ご自身の専門領域については、さまざまなソーシャルサポートの制度を理解しているかもしれませんが、専門外の疾患におけるさまざまな制度までは把握していないことも多いのではないでしょうか。これまでソーシャルサポートについて詳しく記載した臨床の書籍はあまりなかったと思いますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
4つ目は、非がん患者の緩和ケアで役立つ心身医学のエッセンスをコラムで複数取り上げました。私は心療内科医ですが、日常臨床で心理療法のエッセンスを少し使うだけで、ずいぶんと診療がスムーズに運ぶことを多く経験しています。
5つ目は、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)について患者さんと話し合う場面を取り上げた事例を、疾患ごとに記載しています。もちろん、すべての患者さんに利用できる会話例というものはありませんが、専門家がどのような会話をしているのかを知っておくことは、きっと臨床に役立つと思います。
 
また、第2版を編集するにあたって、初版発刊後に出てきた新たな知見をしっかり盛り込みました。そして、初版においてやや理解が難しかったかもしれない箇所を拾い上げ、読者のみなさんがより理解しやすい表現に修正しました。さらに、地域医療につなげるための退院支援のポイント、臨床に役立つコラムを追加しています。初版を読んでいただいた方にも、きっと新たな発見があると思います。
 
本書が、非がん患者の緩和ケアに携わっている、もしくはこれから携わ方々の臨床の一助になり、患者さんやご家族の症状緩和やよりよい生活につながれば幸いです。
 
最後に、各領域の第一線でご活躍され、ご多忙のなか執筆いただいた諸先生方、呼吸器疾患以外の知識に乏しい私が助けを請うたのをきっかけに共同編集者になっていただき、幅広い知識をもとに適切なコメントとご協力をいただいた山口崇先生、いつも穏やかに、しかし熱意をもって本書の編集をサポートしてくださったじほうの関口美紀子氏に厚く御礼申し上げ緒言とします。
2023年初春
編集代表 松田 能宣 

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