月刊薬事 2016年7月増刊号(Vol.58 No.10)
その患者・その症例にいちばん適切な使い方がわかる ステロイド療法のエッセンス
商品コード |
93502 |
編著 |
川合 眞一(東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野・医療センター大森病院 教授)/編 |
判型 |
B5判 |
発行日 |
2016年7月 |
ページ |
216頁 |
定価 |
¥3,520(税込) |
在庫 |
|
内容
ステロイドは多くの診療科で処方される有用な薬剤ですが、不適切な使用は重篤な副作用につながる恐れもあります。また、臨床的エビデンスが形成されてきた疾患もある一方、経験的に使用されてきた領域も少なくありません。そのため薬剤師はジェネラリストとして、基本的な薬剤情報はもちろんのこと、臨床的な知識を十分にもったうえでステロイドの適正使用や副作用の早期発見につなげることが重要です。
本増刊号では、ステロイドの基本的な知識から、病態・患者背景に応じた使い方、副作用のマネジメントまでがわかりやすく体系的にまとめられており、必要な知識をしっかり学べる一冊です。
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目次
第1章 まずはここから ステロイドの基本を知る
1.ステロイドの作用機序 田中廣壽
2.ステロイドの種類と特徴 川合眞一
第2章 剤形別の特徴と使用時に注意すべきこと
1.経口剤 小杉隆祥
2.注射剤 土井啓員
3.外用剤 多田公揚
4.吸入剤 増田信一
第3章 見逃してはいけないステロイドの副作用と対処法
1.禁忌・薬物相互作用 川合眞一
2.感染症 南木敏宏
3.骨粗鬆症 宗圓 聰
4.糖尿病 飯降直男、辻井 悟
5.脂質異常症・動脈硬化 舟久保ゆう
6.精神病 佐藤慎二
7.副腎不全 中尾佳奈子
8.消化管障害 上原昌晃
9.白内障・緑内障 松本 直、堀 裕一
第4章 疾患・病態別にみたステロイドの選び方・使い方
1.膠原病(関節リウマチ、SLEなど) 亀田秀人
2.呼吸器疾患 鈴木幸男
3.腎疾患 縄田智子
4.神経疾患 山脇健盛
5.アレルギー 田中翔太、増山敬祐
6.アレルギー性皮膚疾患 中村元信
7.緩和ケア 余宮きのみ
8.救命救急疾患 森 智治、佐藤格夫、小池 薫
第5章 患者背景別のステロイドの選び方・使い方
1.妊婦・授乳婦 後藤美賀子、村島温子
2.小児 福原大介、楊 國昌
3.高齢者 細野 治
4.手術時 田邉真紀人、柳瀬敏彦
付表 主なステロイド一覧
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序文
1948年9月21日、Henchらは、合成したコルチゾンを初めて関節リウマチ患者に用い、劇的な効果を得たと発表した。この臨床試験のために、Henchはコルチゾンを合成した米国Merck社(当時)に対し、この薬を試したいと手紙で申し出ている。そのなかで彼は、関節リウマチの活動性が黄疸の患者で改善し、また妊娠によっても改善したことがステロイド療法のヒントになったと述べている。つまり、男女ともに分泌し、妊娠により大きく変動するホルモンの類という臨床的観察によって、副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンを関節リウマチ治療薬の候補の一つとして注目したという。
ステロイドの効果があまりにも劇的であったため、Henchとステロイドの合成に関係した2名の研究者は、1950年にノーベル医学・生理学賞を受賞することになった。その後ステロイドは、関節リウマチ以外の膠原病に対する有効性が示されていった。さらに、血液疾患、神経疾患など、それまで治療法がなかった多くの疾患に次々と使われることになり、ステロイドは近代医学に最も貢献した薬物の一つとなったのである。
しかし、ステロイドは一方で重篤な副作用を引き起こすことも明らかとなった。そのため、ステロイドの効力をいかに増し、副作用をいかに減らすかという視点に立った新しいステロイドの合成も試みられたが、本書でもわかるように、副作用の分離にはいまだ成功していない。したがって、ステロイド療法は、ステロイドをどのようにどのくらい使えば最小限の副作用で最大限の効果を得られるかにかかっている。本書では、そうした臨床で必要な情報をそれぞれの専門家にまとめていただいた。本書を利用していただき、薬剤師の先生方には医師や看護師などの他の医療スタッフに頼られる存在になっていただけることを期待している。
東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野・医療センター大森病院 教授
川合 眞一
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